2026年7月のPLCリアルワークショップを開催しました。テーマは「JV(ジョイントベンチャー)=リストを借りる」
ファネルマーケターの田中祐一です。
2026年7月18日、3ヶ月に1回のPLCリアルワークショップを開催しました。会場とオンラインのハイブリッドで、たっぷり5時間。今回のテーマは「JV(ジョイントベンチャー)」です。座学だけで終わらせず、後半は参加者同士がその場で企画を組んで日程まで決める、実践型の構成にしました。

集客ルートは3本持っておきたい
最初にお伝えしたのは、集客ルートを1本に依存しないという話です。
広告は速いけれど、コスト割れのリスクがある。SNSは資産になるけれど、仕組みを作るまでに時間がかかる。じゃあその中間はないのか、というところで出てくるのがJV=リストを借りるという手段です。広告ほど一気には伸びないけれど、SNSよりは速い。そして何より、赤字を掘るリスクが低い。
イメージしづらい方は、郵便局から届く荷物を思い浮かべてください。中にクレジットカードや保険会社のチラシが同梱されていることがありますよね。あれも「相手の配送ルートに自分のものを乗せてもらっている」という意味では、立派なJVです。誰かがすでに持っている導線に、自分を乗せていただく。これがこの日の一貫したテーマでした。
相手選びの原則は「商品は競合せず、顧客層は重なる」
では誰と組むのか。ここが一番大事なところです。
原則はシンプルで、商品は競合しないけれど、顧客層は重なっている相手を選ぶ。完全な同業だと「このメソッド、本当にすごいんですよ」とは言いづらいですよね。逆に、まったく客層が違う相手と組んでも、紹介したところで刺さりません。
分かりやすい例が、ネイルサロンやエステサロンと結婚相談所です。見込み客はきれいに重なっているのに、商品としては競合していない。だからお互いに気持ちよく紹介し合える。
たとえば英語のメソッドを持っている方であれば、同じ英語系の方を探しに行くよりも、自己啓発や心理学、健康系など「普通のママさんが集まっているコミュニティ」と組んだほうが、お互いのメリットは大きくなります。同じ土俵で戦わない相手を探す、という視点をぜひ持ってみてください。
成否を分けるのは「信用の移行」
JVで成約率がぐっと跳ね上がるときに何が起きているかというと、僕らはこれを「信用の移行」と呼んでいます。
同じ「紹介」でも、やり方によって結果はまったく変わります。メルマガにコピペの紹介文を1本流すのか。ツーショット写真を出して紹介するのか。それとも一緒にライブに出て、ガチで持ち上げてくれるのか。この3つは、同じ紹介という言葉でくくれないくらい差が出ます。
なので相手を見るときには、「この人は適当に紹介するタイプなのか、それとも本気でプッシュしてくれるタイプなのか」まで含めて見極める必要があります。リストの数だけを見て決めない、ということですね。
提携の深さは3段階ある
提携のかたちにも段階があります。
一番軽いのが、お互いのエバーグリーンにメルマガを流し合うところから始めるやり方。小さく始めたいならこれでもいいのですが、正直かなり軽いです。その次が、一緒にライブをやること。そして最強なのが、一緒に講座をやることです。ただし共同講座は、仲が良くないとまず成立しません。
共同ライブでよくある失敗は、「一緒にライブしようよ」「いいですね」で終わってしまい、どちらのオファーもティーアップされないまま雑談で終わるパターンです。これを防ぐには、主役と引き立て役をはっきり分けること。引き立て役の人が、主役のバックエンドをプッシュしてあげる。自分では自分の商品をプッシュしづらいですから、ここは他人にやってもらったほうが効きます。
そして役割を入れ替えて、もう1回やればいい。2回やれば、お互いが主役になれます。
「断れない提案」は、相手の作業をゼロにすること
JVを取り付けにいくときのコツもお話ししました。ポイントは3つです。相手のメリットをちゃんと言うこと。相手の作業をゼロにすること。そして期限を切ること。
共同イベントをやるならヘッダー画像もこちらで作る。オンラインサミットをやるなら運営は全部こちらが持って、相手には登壇と紹介だけをお願いする。要するに、こちらが泥をかぶるということです。実績や知名度でパワーバランスが不利なときほど、この「面倒なことを引き受ける」が武器になります。
紹介が止まってしまう理由も、たいていは同じところにあります。面倒だからです。
だから僕がローンチするときは、紹介文もこちらで書きますし、ツーショット写真も保存しておいて相手に送ります。「あと3日です」という加工済みの画像まで作って、お一人ずつお渡しする。ここまでやると、相手は面倒くさくないですよね。半年前に撮った写真を探すところから始めさせてしまうと、その時点で紹介は止まります。この細かい気遣いの積み重ねが、最後は集まるリスト数の差になって表れます。
結局、お金を超えるのは人間関係でした
昔、自社でアフィリエイトセンターを運営していたことがあります。無料オプトインの報酬をお支払いする仕組みですね。
これがなかなか大変で、不正な登録をしてくる業者への対応に追われました。チェックの仕組みを作っても運営が煩雑になる一方で、最終的には3,000人ほどいた登録者を、顔の見える200人ほどに絞りました。当然、紹介件数はガクッと落ちました。
でもそのときにはっきり分かったことがあります。顔を出してきちんと紹介してくださる方は、お金が欲しいから紹介しているわけではないということです。人間関係があるから紹介してくださっていて、報酬はあくまでおまけなんですよね。
「この人に言われたからやる」という関係性をつくること。遠回りに見えて、これが一番強いと今でも思っています。
後半はその場で企画を決めるマッチング会
セミナーが終わったら、すぐ実践です。テーブルごとに分かれて、15分ずつ入れ替わりながらお互いの事業を紹介し合い、その場でJV企画を組んでいただきました。
ところが最初のラウンドで、なかなか話がまとまりませんでした。同じ立場の方同士が同じテーブルに集まってしまうと、お互いに「どうしましょうか」となってしまうんですね。
そこで途中から進め方を変えました。自分から「一緒にやりませんか」と切り出すのは、やっぱりハードルが高い。だったら本人に言わせなければいい、ということで、周りの4人が「◯◯さんと組んだらいいじゃないですか」と背中を押す方式に切り替えました。全員でお互いをよいしょし合う形にしたところ、一気に空気が変わって、あちこちで話が動き始めました。
もちろん、話がまとまらなくても恨みっこなしです。ここは気軽にいきましょう、とお伝えしています。最後に挙手で確認したところ、その場で企画が決まったペアがいくつも出てきました。決まらなかった方も、お名前は覚えているので個別に詰めてくださいね、とお願いして締めました。
その後は情報交換会を2回転して終了です。
質疑応答でいただいたご相談
Q. 自分のコンテンツを紹介してもらおうと同じジャンルの方に声をかけているのですが、「リストが被るので自分のリストが毀損する」と気にされて断られてしまいます。どう口説けばいいでしょうか。
A. まず、相手が言っていることは正しいです。既存リストへのリスクは実際にあります。そこは「ありません」と言ってはいけないところですね。
問題はその先で、なぜ私がこの人を紹介するのかという理由が伝わらないまま紹介してしまうと、読者から「結局お金目的でしょ」と受け取られてしまう。相手が本当に恐れているのはそこです。
だから一番自然なのは、「この先生のセッションを実際に受けて自分が変わったので、みなさんにも紹介したい」というストーリーです。信用が毀損されないストーリーを一緒に描けるかどうか。ここが描けない相手を無理に口説くのは難しいので、最終的には相手のタイプ次第になります。
相手が嫌がる理由を考えるという意味では、これはセールスとまったく同じ構造です。パラダイムシフトを起こせれば勝ちですし、合わなければ「またの機会に」で終わる。それでいいと思います。
Q. 「いろんなパターンを見せたい」というお話がある一方で、「ここはこうだよね」という定石もありますよね。どこまでテンプレートを守って、どこから工夫すべきかの見極めが難しいです。工夫が変な方向に行ってしまうこともあって。
A. これは正直に言うと、マーケター側の実力の問題です。
最初はテンプレート通りにやってみてください。そのうえで、数字が思ったように動かないという苦い経験をする。この苦渋を舐める経験が人を育てます。
そこで数字を見ながら「田中祐一のフォーマットは田中さんだからハマっているのであって、自分の場合は違うのではないか」と気づいた瞬間に、別のパターンを試せばいい。最初がテンプレ思考になるのは当たり前ですし、成長の過程で外していけば大丈夫です。
Q. 個別説明会に申し込んでくださっても、日程がずいぶん先の方は成約しづらいのではないでしょうか。
A. 成約率は間違いなく落ちます。ただ、それでも決まる方はいらっしゃるので、拾い上げること自体はやめないほうがいいです。
僕自身の反省としては、入り口に緩くても審査を置くべきだったと思っています。以前、面談の名前を少し変えただけで申し込みが増えたことがありました。でもそのぶん、後半になるにつれて成約率は落ちていったんですね。事前アンケートをきちんと書いてくださらない方は、成約しても入金まで至らないことがある。
だから、ゆるい審査で構わないので「あなたは面談に進めます」と合格をお伝えする設計にする。それだけで相手も襟を正して来てくださいますし、こちらにも優位性が生まれます。
最後に:手段が目的になっていませんか
締めくくりにお伝えしたのは、目的思考の話です。
たとえば「配布されたスキルがうまく使えないから、自分はダメだ」と落ち込む方がいます。でもこれ、スキルを使うこと自体が目的になってしまっているんですよね。本来立てるべき問いは「この目的を達成するために、使えるものはあるか?」であって、なければゼロから作らせればいいだけです。
ローンチの台本も同じで、「どう書けばいいんですか」ではなく「この段階で、どういう言い回しをすればお客様に刺さりますか」と聞く。同じことを聞いているようで、出てくる答えはまったく変わります。
僕のコンサルの仕事は、半分くらいが「目的の整理」だったりします。手段が目的化しやすいのは、起業家がとてもハマりやすい罠です。何かに詰まったときは、一度「そもそも何のためだったっけ」に戻ってみてください。
PLCは、実践したことをどんどんシェアし合って、みんなで一緒に成長していくコミュニティです。今回のマッチング会のように、その場で手を動かして、何かひとつ持ち帰っていただける時間を、これからも用意していきます。
まだ企画が決まっていない人こそ、次のワークショップに来てください。「誰と組めばいいか分からない」という状態からでも、周りが背中を押してくれる場所です。
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